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藤浩志の美術展 セントラルかえるステーション @3331

Jul.19,2012 20:03

今3331 Arts Chiyodaでは夏の特別展「藤浩志の美術展 セントラルかえるステーション ~なぜこんなにおもちゃが集まるのか?~」(7/15-9/9)が開催されています。会場には「かえっこ」(藤氏のファミリープロジェクトとしてスタートした、いらなくなったおもちゃを使って地域に様々な活動を作り出すシステム)によって自動的に集まってきた、おびただしい数のおもちゃが積まれています。それらを分類整理の後再構成した作品「ハッピーリング」や「トイ・ザウルス/Toysaurs」などの展示もあります。鮮やかな色の洪水、圧倒的物量に、会場に足を踏み入れたとたん、子どもならずとも、しばし息をのむことでしょう。

展示は藤氏のこれまでを振り返る活動の連鎖や、地域活動から生まれた廃材を使ってのインスタレーション、「かえっこで」集まったおもちゃの山と、それらを素材に繰り広げられるアーティストやクリエイターのワークショップの3つで構成されています。
奥まった空間には、ぬいぐるみだけが集められたゾーンもあります。いわば「ぬいぐるみ夢の島」。来場者は靴を脱いで、大小のぬいぐるみをかき分け、ぬいぐるみの山に身を預けたり、体を埋もれさせながら、自身も廃棄されたぬいぐるみの一つであるような不思議な感覚を味わったり、意味もなくぬいぐるみを掘り出してみたり…とそれぞれに過ごしています。照明を暗めに設定したこのコーナーは、大量生産・大量廃棄のほろ苦さと、おもちゃに託した夢を一度に味わえる場所です。

これまでクリエイティブ・リユースの現場を沢山見てきましたが、このようにおもちゃに特化した活動を展開している組織は他にありませんでした。モノがどんな社会の仕組みの中でうまれ、どう扱われているのか。そして私たちはそれにどうかかわり、どんな新たな価値を作っていけるのか。それを考える素材として、藤氏が着目したおもちゃほどうってつけの素材は無いでしょう。ハッピーに楽しく社会の仕組みを変えていくことはできるかもしれないと思えてくる、廃材と人の持つ底知れない力を感じる、この夏一押しの展示です。

セントラルかえるステーションを後にして、末広町方面に歩くと大通りに面したマクドナルドが見えてきます。先ほどのハッピーセットのオモチャが子どもたちに手渡される場所です。右に折れて秋葉原を目指すと、左右にゲームセンターが現れては消えていきます。大量のぬいぐるみたちが賞品として旅立っていきます。道では中国の観光客ともすれ違います。彼らの向こうに、あの膨大な数のおもちゃの大半を生産している大陸の人々がぼんやり見えた気がしました。この大きな連鎖はいつまでつづくのでしょうか。展示は私たちに、これからどうするのか?を問い続けています。

大月ヒロ子